◆イワン雷帝
まごう事なき大傑作
この映画の第1部は歴史上の人物、皇帝イワン4世をスターリンになぞらえて賛美している。しかしながら、皇帝自らが民衆の支持を強く求めているあたりに監督の本音が垣間見える。
第2部では、やや展開の矛先に変化が見られる。ストーリー上はイワンが雷帝と名乗るまでの経緯が描かれ、これがスターリンの圧政と二重写しに見える。そのためか、スターリン死後の1958年まで作品は当局により公開禁止とされる。圧政者の孤独も丁寧に描かれ、逆にその事がスターリンの逆鱗に触れたとも言われる。
本来は第3部まで構想されていたのだが、こうした経緯からかエイゼンシュテインは続編の制作を放棄、1948年に心臓発作で他界。
演出上の不整合は、第2部で突如エイゼンシュテインの本音が出てしまった事にもよる。しかし、各カットの構図の隙のない美しさ、プロコフィエフ作曲による重厚な音楽、第2部のクライマックスのパートカラーの色彩の強烈さなど、実に素晴らしい。最後で第3部の展開を予感させておきながら、観る事が出来ないのは大変残念である。
この映画は決してプロパガンダ映画ではない。演出者の葛藤すらリアルに伝わってくる、紛れもない傑作である。是非ご自分の目で確かめていただきたい。しかし、作品自体の不幸な運命から星ひとつ欠けてしまうのは、致し方がない。
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セルゲイ・エイゼンシュテイン(脚本)|
アイ・ヴィ・シー| ¥ 3,675
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